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ベトナム人事データの越境移転:EOR・PEO・給与
執筆者 Nguyễn Quốc Trung — 副社長 · 更新日
ベトナムの従業員データ — 給与、勤怠、人事記録 — が海外の会社に送信または提供されると、それは個人データ保護法第91/2025/QH15号第20条第1項に定める個人データの越境移転にあたります。移転する側は影響評価書類を作成し、最初の移転日から60日以内に公安省所管の個人データ保護専門機関へ提出しなければなりません(免除事由がある場合を除く)。EOR、PEO、給与計算アウトソーシングでは、誰が移転する側なのか — サービス提供者か、御社自身か — が決定的な問いになります。
本記事は、提供者を通じてベトナムで人材を雇用する外国企業と、グループ本社へ人事データを報告するベトナム子会社を対象としています。引用した条文はすべて、2026年1月1日に同時施行された法律第91/2025/QH15号と政令第356/2025/NĐ-CP号の原文に基づきます。
人事データはどのような場合に「国外へ移転された」とみなされますか?
法律第91/2025/QH15号は三つの行為を個人データの越境移転とみなしており、三つとも海外要素のある人事管理でよく発生します:
- 海外での保存: ベトナムで保存しているデータを国外にあるシステムへ移す場合。例: グループ共通の人事プラットフォーム。
- 海外組織への送信: ベトナムの組織が海外の組織・個人にデータを渡す場合。例: 顧客や親会社への詳細な給与レポートの送付。
- 海外プラットフォームでの処理: ベトナムで収集したデータを国外のプラットフォームで処理する場合。例: 海外サーバー上の給与計算ソフトの利用。
政令第356/2025/NĐ-CP号第17条はこの三つを改めて定め、管理者、処理者、第三者のいずれの役割にも適用されると明記しています。つまり、顧客の依頼でデータを海外へ送るサービス提供者も、自ら越境移転を行っていることになります。
海外の顧客がポータルで閲覧するだけでも越境移転になりますか?
慎重な解釈では「なる」です。法律には「閲覧のみ」の例外がなく、法律第91/2025/QH15号第2条第6項はデータの「提供」を処理行為の一つとして挙げています。海外にいる人が給与画面を開けば、データはその人の端末へ送られるため、海外の組織に提供されたとみなすことができます。
だからといって「閲覧のみ」の方式に価値がないわけではなく、むしろ逆です。影響評価書には、移転後のデータ保護の方策と、受領者が第三者へデータを再提供する手順を記載しなければなりません(政令第356/2025/NĐ-CP号第18条第3項)。顧客が移転する側のシステム内で閲覧するだけなら、複製も漏えい箇所も減り、移転する側はデータを最後まで管理していることを示せます。「閲覧のみ」は義務をなくすものではありませんが、義務を果たす最も強力な方法です。
EOR、PEO、給与計算アウトソーシングでは誰が書類を提出しますか?
書類は海外へデータを移転する側が提出し、それは誰が使用者(雇用主)かによって決まります。EORでは提供者が使用者であり、海外の顧客にデータを提供する側なので、提供者が提出します。PEOと給与計算アウトソーシングでは御社のベトナム法人が使用者であり、その法人が親会社とデータを共有する場合、義務はその法人にあります。
| モデル | 使用者(雇用主) | 提供者のデータ上の役割 | 海外へデータを移転する側 |
|---|---|---|---|
| EOR | EOR提供者 | 管理兼処理者 | 提供者 — 海外の顧客にデータを提供するとき |
| PEO | 顧客のベトナム法人 | 処理者 | ベトナム法人 — 親会社と共有するとき |
| 給与計算アウトソーシング | 顧客企業 | 処理者 | 顧客企業 — 親会社と共有するとき |
PEOと給与計算で最もすっきりした役割分担は、提供者が御社のベトナム法人にレポートを渡し、グループへの転送は使用者の判断であり使用者の書類とすることです。提供者に親会社へ直接送るよう依頼すると、提供者も移転する側となり、書類に名前を記載する必要があります。二つのモデルの違いはEORとPEOの違いで詳しく解説しています。
親会社への移転は影響評価が免除されますか?
国境を越えた人事管理のために、就業規則、労働規程、労働協約に従って移転する場合は免除されることがあります。これは政令第356/2025/NĐ-CP号第17条第3項d号に新設された免除事由で、複数国で人材を管理するグループ向けのものです。
条件は条文そのものにあります。データ共有は使用者の就業規則、労働規程および労働協約に従って行われる必要があります。グループへの人事報告をこれらの文書に盛り込んでいない企業は、免除を主張しにくくなります。法律にはもう一つ免除がありますが、範囲は限定的です。組織が自社の従業員データをクラウドコンピューティングサービスに保存する場合です(法律第91/2025/QH15号第20条第6項b号)。この免除は保存だけが対象で、同じデータを海外の親会社に送付・共有することは、依然として書類が必要な移転です。
EORはなぜ人事管理の免除に頼りにくいのですか?
EORでは海外の顧客は使用者ではありません。労働契約を結ばず、就業規則も定めず、提供者と同じグループでもありません。データは使用者から海外の別法人へ移るため、人事管理の免除が想定していない「海外組織への移転」そのものです。この点を明確にした指針はまだないため、通常の越境移転として書類を提出するのが慎重な対応です。
書類の免除は法律の免除ではありません。その他の義務はそのまま残ります。適法な処理根拠、安全管理、受領者を拘束する契約、そして労働契約終了時の従業員データの削除(合意または法律に別段の定めがある場合を除く、法律第91/2025/QH15号第25条第2項)です。また、個人データの処理に関する影響評価は別の書類であり、管理者は最初の処理日から60日以内に提出しなければなりません(法律第91/2025/QH15号第21条)。移転の書類が免除されても、この書類まで免除されるわけではありません。
海外の顧客との契約では何を拘束すべきですか?
契約は海外の受領者に具体的な責任を課す必要があります。その契約書の写しが影響評価書類の必須構成要素だからです(政令第356/2025/NĐ-CP号第18条第2項b号)。採るべき原則は、顧客は業務の指揮のためにデータを閲覧できるだけで、それ以外の処理はすべて除外するというものです:
- 目的の範囲内での閲覧のみ: 業務の割当てと検収に必要な範囲で勤怠、給与、人事記録を閲覧。
- 独自の収集・保存の禁止: 個人データを顧客自身のシステムに複製しない。
- 他目的の分析・集計の禁止: 従業員について独自のプロファイルを作らない。
- 編集の禁止: 変更はすべて使用者を通す。
- 提供・再移転の禁止: 子会社、パートナーその他いかなる第三者にも渡さない。
- 事故報告と権限の回収: 閲覧アカウントが漏えいしたら直ちに報告し、サービス契約終了時にアカウントを閉鎖して保有する複製をすべて削除。
このリストは、法律第91/2025/QH15号第2条第6項が「個人データの処理」と定める行為 — 収集、分析、集計、編集、提供、移転 — にそのまま対応しています。これらの行為を一つずつ顧客の範囲から除外することが、「閲覧のみ・処理禁止」条項を約束ではなく法的根拠のある条項にする方法です。提供者を選ぶ際は、この条項が用意されているか確認してください。質問リストの全体はベトナムでのEOR選定チェックリストにあります。
政令356で「機微データ」にあたる人事データは何ですか?
政令第356/2025/NĐ-CP号第4条によれば、人事で扱うことの多い機微データは、身分証の画像、位置情報サービスで特定した位置、生体データ、健康状態の四つです。一方、身分証番号と電話番号は基本データにとどまります(第3条)。
この境界が、海外へ何を送るべきかを決めます:
- 採用書類の身分証画像: 海外の顧客が業務を指揮するのに必要ありません。
- 勤怠アプリの位置情報: 出退勤時刻で十分で、座標は不要です。
- 勤怠端末の指紋・顔データ: 生体データは元のシステムに残すべきです。
- 健康診断書、病欠届: 休暇日数など業務に必要な情報だけを送り、診療記録は送りません。
一般原則として、可能な限り集計済みまたは非識別化したレポートを送ってください。非識別化されたデータとは、特定の個人を識別できず、識別の助けにもならないデータです(法律第91/2025/QH15号第2条第11項)。小さな集団には注意が必要です。一人しかいない部署の「部署別」給与集計は、依然としてその人のデータです。
違反した場合、どのようなリスクがありますか?
越境移転の規定に違反した組織への罰金の上限は、前年度売上高の5%です。前年度の売上がない場合、または5%が30億ドンを下回る場合、上限は30億ドンとなります(法律第91/2025/QH15号第8条第4項・第5項)。
罰金以外に、押さえるべき手続上の期限が三つあります:
- 60日: 海外へデータを初めて移転した日から数える書類提出期限(法律第91/2025/QH15号第20条第2項)。
- 一度作成、常時備置: 書類は事業期間全体について一度作成しますが、専門機関の検査に備えて常に用意しておく必要があります。
- 6か月: 新たな目的が生じた場合や、管理者、処理者、第三者が変わった場合の定期更新(政令第356/2025/NĐ-CP号第20条)。
6か月ごとの更新はEORで特に重要です。新しい海外顧客はすべて新しいデータ受領者だからです。提供者を選ぶ際には、影響評価書類を提出済みか、御社へのデータの流れが書類に反映されているかを率直に尋ねることができます。
Nhan Kietは海外顧客のデータをどのように扱っていますか?
Nhan Kietはモデルごとに役割を分けています。EORではNhan Kietが使用者であり移転する側なので、影響評価書類の義務はNhan Kietが負い、顧客に転嫁しません。海外の顧客は「閲覧のみ・処理禁止」の原則に基づく受領者誓約に署名します。PEOと給与計算では、Nhan Kietは契約に基づく処理者として、顧客のベトナム法人にレポートを渡します。
この分担により、顧客は自社の役割を正確に把握できます。ベトナムのEORサービスでは、受領者誓約に署名していただきます。給与計算アウトソーシングやPEOでは、グループとのさらなる共有は御社自身の労働規程と書類の中で扱います。
Nhan Kiet Manpower Supply Company Limited(税コード0308022768)は2009年4月に設立され、今年で17年目です。労働者再派遣許可第15/2019/SHCM号に基づき運営し、ISO 9001:2015、ISO 45001、ISO 14001の認証を保有しています。34の省・市で500社を超える顧客と40,000人を超える労働者を管理しています。
参考資料
- 個人データ保護法第91/2025/QH15号 — 第2条、第8条、第20条、第25条。2026年1月1日施行
- 政令第356/2025/NĐ-CP号 — 第3条、第4条、第17条、第18条、第20条。2026年1月1日施行、政令第13/2023/NĐ-CP号を代替
本記事は方向性を示すために規定を整理したものであり、個別の状況には個別の助言が必要です。
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